コンセプトは「焼き付き」。
長時間点灯し続けた液晶画面に影が焼き付いてしまうように、
未露光のフィルムに像を焼き付けるように、
強烈な印象が脳裏に焼き付いて離れないということを指す言葉。
消えない傷跡やトラウマ、
美しいものに圧倒された経験など様々な「焼き付き」をテーマの
新世代のボカロシーンで活躍する
「エモくてオルタナでカッコいい」
ボカロPたちに声をかけ本作品は実現しました。
キタニタツヤ
「エモくてオルタナでかっこいい」──
そんな音楽は、いわゆるメインカルチャーではないのかもしれません。
けれどだからこそ、誰かの心の奥底に深く響く、儚くも力強い音楽の本質を宿しているのだと思います。
音楽が凄まじいスピードで消費されていく令和の時代にあっても、 十人十色の「エモくてオルタナでかっこいい」音楽は、確かに誰かの記憶に焼きつくはずです。
そしてこの音楽に触れた誰かが、また新たな「エモくてオルタナでかっこいい」音楽を生み出し、 それがまた、別の誰かの記憶に焼きついていく──そんな連鎖が続いていきますように。
「Eingebrannt」リリース、おめでとうございます。
池袋の街が冬の寒さに包まれた頃…。空路で東京へやってきて、初めてボーカロイドマスターに出展した。当時マスロックのマの字も知らない自分は、キモペジオと呼ばれる作法などに魅了され、もっと見たい!と思っていた。汝の若さ故に初めてのボーカロイドマスターはてんやわんやだったものの、なんとか作った空き時間で、とあるサークルの手焼きCDを買う。その名は「エモくてオルタナでカッコe.p.2」___。
それから10年くらいが経って、ボーカロイドのシーンの雰囲気も大きく変わった。その中で今も、変わらない血のようなものが(現代のボカロオルタナプレイヤーがそれに自覚的であるかは別として)受け継がれていて、自分も大好きでよく聴いている。今回のコンピレーションアルバム「Eingebrannt」は、こんにちは谷田さんを含む先人たちが持ち込んだ血が、世代を巡り巡って、また新しい形で生まれ変わった「エモくてオルタナでカッコいい」なんだと思った。
以上、ボカ老人の思い出話を失礼致しました。
みんな本当に良い曲を書いていて、あとDTMが上手すぎる!
オルタナ⋯という言葉の定義は難しいですが、このアルバムにはとにかくエモくてカッコいい珠玉の名曲が揃っています。
そして、これだけの言葉・メロディー・楽器たちが渾然一体の音となって作られた叫びは、やっぱりオルタナティブな場所からしか生まれ得ないのだ!と確信させてくれます。
オルタナティブでいこう!
(グミ山)
現在、世界中の多様な音楽が手軽に楽しめるようになり、楽曲制作環境も飛躍的に進化したことで、誰もが高品質な音源を生み出せる時代が到来しました。その影響を受けて、ボカロ音楽は目覚ましい進化を遂げています。しかし、私たちが子どもだった頃に心を打たれた古き良きボカロの魅力が懐かしく思い出される瞬間も少なくありません。そんな中、このアルバムの楽曲たちは、洗練された音質を保ちながらも、あの頃のボカロと深くつながる息吹を感じさせてくれました。現代で研ぎ澄まされた実力でシバいてくるクールさを持ちながらも、ボカロ黎明期の魂が息づく、非常にアツいアルバムだと感じました。
(N-Roach)
「合成音声のゆくえ」主宰
駱駝法師
ポストロック最初期の名アルバム、Tortoiseの「TNT」はバンドサウンドをPC上の音楽制作ソフトで切り貼りし、全く新しい形に再構築する手法を世に知らしめました。
今回のコンピは、正にそのポストロックが進化した形のひとつであるように僕は思います。
人間の歌声や生演奏のような、バンドの肉体性が持つ魅力とは異なる方向(オルタナティブ)に発展しながらも、そこには確かに各アーティストにしか出せない個性や感情の発露がある。 キタニさんの冴えわたるキュレーションを機に、動画サイトの奥深くに数多く存在するボカロ音楽のディープな良さが少しでも広く伝わって欲しいなと思います!
最高のアルバムをありがとう!